季節外れの暖かさが日本列島を覆った。4日は師走にもかかわらず各地で「夏日」となり、今季は暖冬が予想されている。その兆しは11月から生じていて、セミが羽化したり、冬物の売れ行きが不調だったり。それでも、大雪への備えは怠れないという。
全国926の観測地点のうち、沖縄や九州、近畿、関東など66地点で「夏日」となった4日。366地点で12月の最高気温を更新(タイ記録含む)した。最高気温は東京都練馬区で25・0度、大阪府八尾市で26・1度を記録した。5日も東京都心で午前10時の気温が17・2度と平年の最高気温を約4度上回るなど、各地で暖かさが続いた。
気象庁によると、こうした傾向は11月から。特に東日本や北日本では高気圧に覆われる日が続いていた。宇都宮市や前橋市では月平均気温が過去2番目の高さだった。
初雪の観測も遅れている。今季、全国で最初に観測した北海道稚内市は11月14日だったが、統計が始まった1938年以降、同市では最も遅かった。12月5日午前までに北海道と東北の計12地点で観測されたが、平年より5~23日遅い。仙台市(平年11月24日)と福島市(同26日)ではまだ観測されていない。
気象庁は今季、エルニーニョ現象の発生もあり、暖冬になりそうとみている。
12月7~8日以降は冬型の気圧配置となって寒気が流れ込むため、北海道や東北では大雪のおそれがあるほか、各地で真冬並みの冷え込みを予想。ただ寒気の影響は長く続かず、12月の1カ月予報では東日本から沖縄の広い範囲で気温が平年より高くなる見込みだ。(山岸玲)
「こんな時期に地上に出てくるなんて!」
4日午後、長野県白馬村のスキー場「エイブル白馬五竜」は小雨がぱらついていた。ゲレンデに雪は見当たらず、枯れ草ばかり。リフトも動いていない。
この日の村の最高気温は16・4度で、コートを着込めば汗ばむほど。昨年は11月21日オープンだったが、今季はまだほとんど雪が降っていない。人工降雪機はあるものの、気温がマイナス3度くらいまで下がらないと雪は作れないという。男性職員は「週末に雪が降るようだ。50センチ以上積もり次第、営業を始めたい」。
村観光局によると、村内にある5カ所のスキー場すべてが4日時点でまだオープンしていない。例年、12月には営業し始めるが、今年は雪が積もっているのは山頂付近だけだという。
都内にも異変が。
「アブラゼミを発見しました」
東京都調布市の神代植物公園では、職員が園内でセミを見つけてツイッターに写真を投稿。「こんな時期に地上に出てくるなんて!来年まで待てなかったのでしょうか?」と伝えた。
園内では春に開花するツツジやシャクナゲの花が何輪か開きだした。秋の終わりとともに花が散るバラは、いまだに花びらをつけているという。「暖冬の影響かわからないが、普通じゃない」と担当者も驚く。
冬物の衣料品の売り上げも出足…