四国4県で古くから親しまれてきたお菓子を、四国八十八カ所霊場にちなんで88集めた本ができた。甘いもの好きの人たちがまとめた「四国懐菓子(なつかし)88」。ご当地で愛される菓子の価値を見直し、今後の町おこしなどにつなげたいという。
編集メンバーは、香川県内に住む公務員や農家、会社経営者ら30~80代の約10人。菓子が好きというだけで集まったサークルだ。きっかけは、メンバー同士の「お国自慢」だった。
「ぶどう餅」と「ぶどう饅頭(まんじゅう)」のどちらが本家で、おいしいか。香川、徳島出身の同僚2人が、名前も形も似たそれぞれのご当地菓子で議論を始めた。
メンバーで食べて決めることになったが、愛媛の出身者が便乗して持ってきた「山田屋まんじゅう」が最も好評だったという。各県に古くから伝わる菓子があるのに気づいたメンバーたちは、遍路にちなんで88種類を集めようと考えた。
選ぶ基準は、地元でよく知られている▽昭和30年代にすでにあった▽家庭で作るものではなく、店で買える商品――など。菓子店を巡り、フェイスブックやホームページでも募った。
5年ほどをかけ、88の「懐菓子」がそろった。ほかに、高知の「芋けんぴ」や愛媛の「坊ちゃんだんご」といった県外でも有名な定番の品を加え、計100種類になった。
B6判、約120ページ。菓子や店の情報だけではなく、四国の菓子にまつわる由縁をまとめたコラムなども掲載。本を置いてくれる書店を探しており、現在はアマゾンなどで税込み1080円で購入できる。(森下裕介)
掲載している菓子
徳島 ぶどう饅頭、亥の子菓子、滝の焼餅 定番=小男鹿、金長まんじゅう
香川 六万石、銘菓観音寺、ぶどう餅 定番=名物かまど、瓦せんべい
愛媛 鬼瓦もなか、大番、山田屋まんじゅう 定番=坊ちゃんだんご、母恵夢
高知 鮎のかほり、お茶屋餅、土佐真珠 定番=かんざし、芋けんぴ