来年度の税制改正で、未婚のひとり親への支援をめぐる自民、公明両党の議論が紛糾している。婚姻歴があるひとり親と同じ程度の減税措置を講じるべきだという公明に対し、自民は「未婚の出産を助長する」などと反発。合意に至らず、13日の与党税制改正大綱の決定を延期する異例の事態になった。
「ひとり親の支援は厳しい折衝が続いている。意見の隔たりは大変に大きく、調整のめどは立っていない」。公明の西田実仁税制調査会長は12日、党内の会合でこう述べた。自民の宮沢洋一税制調査会長もこの日、「鋭意、調整を進める」として、13日に予定していた大綱決定は「できないと思う」と明言した。
対立の発端は、配偶者と死別や離婚をしたひとり親の所得税や住民税の負担を軽くする「寡婦(寡夫)控除」。婚姻歴のないひとり親は法律上、「寡婦」とみなされず、この控除を受けられない。これとは別に、住民税が非課税になる条件も未婚のひとり親は寡婦よりも厳しく、婚姻歴の有無で税負担に差がある。
公明がこれまで見直しを強く求め、昨年まとめた大綱では、子どもの貧困に対応する観点から、今回の税制改正で「税制上の対応」について結論を得ると明記された。
宮沢、西田両税調会長は水面下で協議を進め、宮沢氏が妥協案を示した。自民党の反発が強い寡婦控除の見直しは避け、住民税の非課税措置の対象に児童扶養手当の支給を受けている未婚のひとり親を加えるという内容だった。だが、公明側は「住民税の支援がよくて所得税の支援ができないのはおかしい」などと反発。あくまで寡婦控除の見直しによる対応を求め、交渉は暗礁に乗り上げた。
未婚のひとり親への支援策に必…