相次いだ自然災害を受けて、政府は14日、2020年度までの3年間で防災・減災など「国土強靱(きょうじん)化」を進める総事業費約7兆円規模の緊急対策を閣議決定した。このうち国費は約3・6兆円。関西空港など7空港で電源設備の浸水対策をするほか、全国の約120河川で堤防を強化する。災害拠点病院の設備の整備など重要なインフラ(社会基盤)の強化にも取り組む。
緊急対策は地震や浸水被害の防止や医療活動の災害対応力の確保など「防災のための重要インフラの機能維持」に事業費約3・6兆円、電力や食料の供給といったライフライン確保など「経済・生活を支える重要インフラの機能維持」に同約3・4兆円を振り分ける。初年度分は、今年度の2次補正予算案に1兆円超を計上する。
台風21号による高潮で大規模な浸水被害が発生した関西空港など7空港の浸水対策のほか、12空港ではターミナルビルのつり天井の安全対策を進める。河川の堤防強化は豪雨で広範囲に浸水被害が起きた岡山県倉敷市真備町の小田川なども対象。災害拠点病院など125施設に、非常用自家発電設備の増設について費用の一部を支援する。
安倍晋三首相は、閣議に先立って開いた関係閣僚らによる会議で「緊急に実施すべき160の対策を盛り込んだ。安心して暮らせるふるさとを作り上げるよう、総力をあげて取り組んでいただきたい」とあいさつした。(太田成美)