東京都練馬区立図書館の運営を民間に任せるかどうかをめぐり、練馬区教育委員会と図書館司書らが激しく対立し、司書らがストライキの構えを見せていたが、18日の最終交渉の結果、「一定の合意」に至りストライキは回避された。公立図書館の運営を民間が担う動きは全国で広がっているが、ストライキまで労使対立が激化するケースは珍しいという。
区教委によると、民間に管理を任せる方針を示したのは、練馬、石神井の2館。区教委は約10年前から順次、区立図書館の民間管理を進めており、全12館のうち9館は、図書館運営を業務とする複数の民間企業に頼んでいる。
練馬、石神井の2館についても7月、指定管理者制度を適用し、5年後までに民間に任せる方針を明らかにした。区教委の担当者は、民間の管理を進めた結果を踏まえ、「住民アンケートでも満足度が高いと考えている」と説明する。
2館のうち、練馬図書館は現在、職員全35人のうち、司書資格を持つ非常勤職員32人が蔵書管理や窓口対応などの業務を担っている。区教委の方針に対し、非常勤職員でつくる練馬区立図書館専門員労働組合は「数年おきに運営業者が代わると専門的な運営技術が受け継がれず、サービス低下につながりかねない」などと反発。区教委が示した学校司書などへの配置換え案に対しても、「図書館と学校は性質が違う」とし、区立図書館での雇用の保証を求めるなどしてきた。
区教委と労組は18日夜に最終交渉した。区教委によると、「一定の合意に至った」という。交渉が決裂した場合、労組は19日の開館30分前(午前8時半)から2時間の時限ストに突入する構えだった。
日本図書館協会(東京)によると、公立図書館の運営を巡る労使対立で「ストライキに至るまで激化するケースは珍しい」という。(阿部健祐)