毎日運動すれば保険料が安くなる――。住友生命保険はこんな保険商品「バイタリティー」を発売しました。運動習慣や健康診断の結果に応じて保険料が変動する仕組みで、大手生保で初の試みです。横並びが多い業界で「近年最もとがった商品」とも。なぜ保険で健康増進なのか。橋本雅博社長(62)に聞きました。
――どんな商品ですか。
「既存の生命保険に付加する『特約』のような形で適用する。契約すれば1年目にまず保険料が15%割引となり、その後は健康増進への取り組みに応じて、保険料が毎年見直される仕組みだ。南アフリカの金融大手『ディスカバリー』と提携し、同社のノウハウやデータを活用した」
――健康増進の取り組みをどう把握するのですか。
「体につけるウェアラブル端末やスマートフォンで、毎日の歩数などの運動データや心拍数を把握する。提携するフィットネスジムへの入店記録や、健康診断のデータも頂く。結果がよければ保険料は加入前から最大30%安くなり、悪ければ最大10%増となる」
――頑張らないと保険料は上がるのですね。
「行動経済学の理論では、人が頑張るのは『利益を得られるから』よりも、そうしないと『先に得た利益を失うから』という。健康増進に取り組むことで、リスク自体を減らしていき、保険料に反映される。非常に合理的な商品だ」
――不測の事態にお金を支払う役割の保険会社がなぜ健康増進なのですか。
「日本は平均寿命が非常に長い。一方で健康寿命とのギャップが大きい。その差は男性で9歳、女性で12歳と言われる。生きているが健康ではない状態だ。健康寿命を延ばすのは社会の課題だが、保険会社は保険を通じて契約者と長く付き合う強みがある。健康になれば、その人だけでなく、社会保障費の抑制などで国にもメリットがある。もちろん我々にも利益だ」
「人口減や低成長で市場は縮小する。過去の売れ筋だけではジリ貧で、新たな市場を開拓する必要がある。消費全体が減少する中、健康関連は支出が増えているとの調査もある」
――「ライザップ保険」ともやゆされました。
「我々は健康増進に取り組んだ…