「ママふたり」や「パパふたり」――。同性カップルの家族を描いた著作の出版が増えている。漫画や自伝などジャンルも様々で、11月にはネットで資金を集めた翻訳絵本が書店に並んだ。「典型的な家族」ではないかもしれないけれど、確かに存在していることを知ってほしい。そんな願いが込められている。
11月に日本語訳が出版された絵本「ふたりママの家で」(サウザンブックス社)は、女性同士のカップルの家に養子として迎えられた3人の子どもたちが愛情たっぷりに育てられ、やがて巣立ち、子連れで実家に集うまでの日常を描いた。作家のパトリシア・ポラッコさんが学校での講演活動で、レズビアンの母2人を持つ子どもたちと出会ったことをきっかけに、2009年に米国で出版した。
日本語版の編集を手がけた八尋遥さん(28)は2014年、英国の書店で原書を見つけ、衝撃を受けた。それまでも、日本の絵本には「お父さんとお母さんと、その間に生まれた子ども」ばかりが登場することが気になっていた。「日本にも多様な形の家族がいる。こういう絵本が一冊でもあれば、救われる子どもがいるはず」と感じた。
日本で出版の道を探っていた時…