平成時代、北関東がルーツの家電量販店が市場を席巻した。ヤマダ電機、コジマ、ケーズデンキ。東京・秋葉原より安いと評判だった「北関東価格」を競う様子は「北関東家電戦争」と呼ばれた。群馬発祥のヤマダが業界トップにまで成長した背景は――。
チラシには「80円テレビ」「1円パソコン」の大文字。店頭にはライバル店のチラシを掲示。「他店より1円でも高ければ……」は共通のスローガン。1日に何度も値札が書き換えられた。1990年代から2000年代の朝日新聞地域面には家電量販店がしのぎを削る様子を描く記事が多い。94年群馬版「価格破壊の波紋広がる」。99年鹿児島版「関東から黒船がやって来た」。05年静岡版「家電巨大2店、隣接5メートル激突」――。
主役は前橋市で創業したヤマダ電機と宇都宮市のコジマ。日本一の電気街と呼ばれた東京・秋葉原より安い「北関東価格」を競う様子は「北関東家電戦争」と呼ばれ、バブル以降のデフレ経済を象徴した。比較広告の表示価格を巡る訴訟合戦も強烈だった。
そのルーツは、いずれも「町の電器屋さん」だった。
「テレビ5台、冷蔵庫3台、洗…