ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産への登録が決まった「来訪神(らいほうしん) 仮面・仮装の神々」の一つ、「遊佐の小正月行事(アマハゲ)」が1日、山形県遊佐町の滝ノ浦地区であった。午後6時過ぎから、2体のアマハゲが十数軒をまわり、座敷を踏みならした。家を清め、無病息災などをもたらすという。
滝ノ浦地区のアマハゲは翁(おきな)の面で、声を一切発しない。案内人が太鼓をたたき、床を踏むかけ声を出す。「アマハゲは神様だから声は出さない。手足も見せないのが本来の姿」という。神様の来訪とはいえ、小さな子どもたちにとっては見慣れぬ姿。驚いて泣き叫ぶ子たちもいた。
アマハゲは、滝ノ浦のほか、女鹿(3日)、鳥崎(6日)の計3地区で行われる。鬼や翁(おきな)の面を付け、「ケンダン」とよばれるワラでできたミノを何重にもまとった「神様」が家々を訪問。上がり込んでは足踏みをし、ミノからワラを落とす。落ちたワラに御利益があるとされる。秋田のナマハゲと同じような来訪神だが、ナマハゲとは異なり、包丁などは持たない。
アマハゲの由来は、手足が低温やけどした際にできる火ぶくれ(火斑)のことで、遊佐では「アマミ」や「ナマミ」と言う。冬場に仕事もせず、囲炉裏端で火にばかり当たっていることを戒め、「アマミをはがす」が転じてアマハゲになったとされる。(鵜沼照都)