天皇、皇后両陛下が学界の第一人者から講義を受ける「講書始(こうしょはじめ)の儀」が11日午前、皇居・宮殿であった。天皇陛下は4月末に退位するため、両陛下の出席は最後となる見通しという。
今年の講義は、がん免疫療法の研究で昨年ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授による「免疫の力でがんを治せる時代」▽小松和彦・国際日本文化研究センター所長の「日本妖怪文化再考」▽江頭憲治郎・東京大名誉教授の「日本のコーポレート・ガバナンス」。
皇太子さまや、秋篠宮ご夫妻と長女眞子さま、皇族方も講義に耳を傾けた。雅子さまは風邪の症状で出席を取りやめた。
宮内庁によると、講書始の儀は1869(明治2)年に、明治天皇が学問奨励のために始めた「御講釈始」が始まり。天皇がその時代に必要な知識を学ぶという目的で続けられ、現在は「人文科学」や「社会科学」、「自然科学」の3分野の学問の権威者が約15分で講義する。
参考の配布資料や説明用のスライドは基本的には無い。2008年に「インフルエンザウイルスの生態」というテーマで進講した喜田宏・北海道大名誉教授(ウイルス学)は、「独特な雰囲気だった。分かりやすく伝えるよう心掛けた」と振り返る。(緒方雄大)