広島、長崎に投下された原爆について、世界各地で書かれた計75言語、3494冊の文献が手軽に検索できる無料のウェブサイトができた。研究者らでつくる団体「リンガヒロシマ」(事務局・呉市)が手がけた。文学から医学まで幅広い分野を網羅。「多くの人に母語で学んでほしい」という。
被爆者は今、核兵器と人類の関係は…核といのちを考える
10日に正式公開の「多言語で読む広島・長崎文献」(
https://www.linguahiroshima.com/
)。国内外37人の協力者たちが、それぞれの言語で記された文献を発掘。一般書店での流通ルートを持たない、珍しい文献も含んでいる。
特徴は、文学をはじめ、児童文学、体験記・回想記、写真集・画集、医学など対象が多岐にわたることだ。一つの文献が複数の言語に訳されている状況を知ることもでき、世界がヒロシマ・ナガサキをどのように共有してきたかがわかるという。
代表の中村朋子・元広島国際大教授は、英語で読める原爆文献の調査研究に長年取り組んできた。その中で、「母語で被爆の実相を広く深く届けることの重要さに気づいた」。原民喜らの原爆文学を研究してきたポーランド出身で広島在住のウルシュラ・スティチェックさんも、「母語で読むと、脳ではなく心に伝わる」という。
コンテンツは今後も随時増やしていく予定という。外国の本についての情報も受け付けている。(宮崎園子)