関西電力は15日、若手社員らが開発した電気自動走行車を使って、移動しながらヘッドスパサービスを提供する実証実験を始めた。京都に本店を置くヘッドスパ店と協力し、4月からの事業化を目指している。
大阪府茨木市の関電茨木研修センターの敷地内を、畳が敷かれたベッドのような車両が、ゆっくりと走る。車両の長さは約3メートルで幅約2メートル。その上では女性が、頭をもみほぐす施術を受けていた。実験に参加したヘッドスパの人気店「悟空のきもち」のセラピスト、山崎桃香さんは、「空や風、香りなど季節の変化を感じ取ってもらいたい」。
車両は、登録した地図で位置情報を把握し、時速3~5キロで走る。カメラやセンサーで障害物を把握して、よけたり止まったりする。電気で走るためエンジン音は無く、ふわふわした乗り心地だ。ナンバープレートを取得して公道を走る予定は無い。
実験は3月まで続け、安全性の検証や、サービス内容の確認を行う。4月以降、商業施設や遊園地などのイベントとして、サービスを提供する予定だ。
関電は、人口減などによる電力需要の減少を補うため、新規事業の開発に力を入れている。電気自動走行車「iino(イイノ)」もその一環で、2017年に4人の若手社員が研究を始めた。車両は、国内外のベンチャーの技術を組み合わせて開発し、用途や提携先について検討。ヘッドスパが事業化の第1弾となった。
開発者のひとり、森脇健吾さん(31)は「バーのようにお酒を提供したり、漫才を楽しんでもらったり。これからもっとサービスを広げていきたい」と言う。(西尾邦明)