関西電力が、2019~21年度に少なくとも500人の人員削減を検討していることがわかった。分社化する送配電部門が対象で、定年退職者を新たな採用で補わない「自然減」で対応していく。送電網を使う電気が減ることを見込み、新会社が収益をあげやすい態勢を整える。
3月にまとめる新たな中期経営計画(19~21年度)に盛り込む。送配電部門の人員は18年6月末時点で約9100人。今回の規模は、16~18年度に同部門で計画する242人の削減の2倍以上となる。関電幹部は「デジタル化で、現場に行く必要のある作業をゼロに近づけたい」と話す。
人員を減らすのは、人口減少や省エネ、自家消費の増加で、収益の柱である「託送料収入」が減っていくためだ。電力系統を流れる電気量に応じて得られるものだが、17年度に約1400億キロワット時だった需要は、30年度には1200億キロワット時まで下がる可能性がある。今後は高度経済成長期に建てた鉄塔の改修が相次ぎ、デジタル化への投資もかさむ見通しだ。
託送料は、政府の認可が必要な規制料金とはいえ、値上げもできる。だが、関電は「値上げすれば家庭や企業の自家消費がさらに増え、需要がさらに減る『負の連鎖』に陥りかねない」(幹部)と警戒し、コスト削減を優先する方針だ。
送配電部門の分離は、国の電力システム改革の一環。関電は新会社を来年4月に立ち上げる予定だ。19~21年度中のコスト削減でさらに約100億円を生み出し、新規事業や海外事業を強化する。(西尾邦明)