夏の参院選の勝敗ラインをめぐり、自民党の甘利明選挙対策委員長が、自民、公明の与党で「安定多数」に言及した。しかし、この言葉は特に衆院で使われる指標の一つ。「安定多数」は、衆院では国会の常任委員長の全ポストを押さえ、各委員会で委員の半数を確保できる議席を意味するが、参院にはそもそも常任委員長の独占はできない先例がある。
衆院では与党が安定的に国会を運営する指標として、「安定多数」と、常任委員長を独占し、各委員会で委員の過半数を確保できる「絶対安定多数」がある。
甘利氏は15日夜のBS11の番組で、参院選の目標議席について、非改選と合わせて「自公で安定多数」と表明。その後、記者団に「安定的に(国会を)運営できるだけの数は目標としていかなければいけない。(与党で)過半数では、委員長を(与党が)出した場合に運営に支障を来す場合がある」と説明した。
仮に衆院の指標をもとに試算すると、「参院の安定多数」確保のためには、改選124議席のうち、与党で61議席以上が必要となる。ただ、指標の前提となる常任委員長ポストの割り振り方は衆参で異なり、参院では委員長ポストを独占できるわけではない。
衆院での常任委員長ポストは与野党協議で割り振られ、過去には与党が独占した例もある。一方、参院事務局によると、参院の常任委員長は先例により、「一定数以上の議員が所属する会派に、所属議員数に比例して配分する」としており、現憲法下で与党が常任委員長を独占した例はない。(二階堂勇)