フランスのルメール経済・財務相は16日のテレビ番組で、役員報酬の過少記載の罪などで起訴されたカルロス・ゴーン被告(64)が会長兼最高経営責任者(CEO)を務める仏ルノーに対し、「新しいガバナンス体制を望む」と述べ、初めてゴーン被告の解任を求めた。ゴーン被告を擁護してきた仏政府が姿勢を転換したことで、解任は避けられない情勢となった。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ルメール氏は番組で「ゴーン氏が退任するということか」と問われ、「その通りだ」と明言した。
「ゴーン氏が長期間業務に携われないなら、新しい段階に進むべきだと言ってきた。今がその時だ」と説明。15日に東京地裁がゴーン被告の保釈請求を却下したことで、勾留がさらに延びる可能性があることが影響したことを示唆した。
ルメール氏はゴーン氏の後任を議論する取締役会を近日中に開くようルノーに求めたことも明らかにした。仏メディアは20日にも開かれると報じている。
ルノーはフランスの元国営企業で、政府は今も筆頭株主として経営に大きな影響力を持つ。これまで「推定無罪の原則が働く」(ルメール氏)などとしてゴーン被告のルノー会長職の解任には慎重だった。(パリ=疋田多揚)