仏ルノーは3日、カルロス・ゴーン前会長が6月12日の株主総会で取締役も辞任すると発表した。すべての役職から退くことになる。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ゴーン前会長の在任中の経営陣の報酬や支出をめぐる社内の最終調査結果も発表した。ゴーン前会長がかかわった支出について「疑わしい」ものや「ルノーの倫理規定に触れる」ものがあり、ルノーの利益に反するものなどがあったとしたが、詳しい使い道や額は明らかにしなかった。
ゴーン前会長側は、ルノーの金が「自身や家族のために使われたことはない」と疑惑を否定している。
オランダにある統括会社「ルノー・日産BV」についての調査については、中間報告として「2010年以来、数百万ユーロ(数億円)の深刻な疑い」を抱かせる支出があったとした。ルノーは詳細は明らかにしていないが、ゴーン前会長の側近で前副社長のムナ・セペリ氏に、この統括会社から不透明な報酬を支払っていたことがわかっている。
一方、ルノーは取材に対し、オマーンのルノーと日産自動車の販売代理店への不透明な支払いについて、先月末に仏検察に通報したことを明らかにした。ゴーン前会長がルノーの金を使い、息子が米国で起業した会社への資金援助や家族へのヨットの購入などに計約1千万ユーロ(約12億5千万円)を流用した疑いがあると仏メディアが報じていた。(パリ=疋田多揚)