来年の東京五輪で団体総合連覇を狙う体操男子がこの冬、中国と異例の合同合宿に臨む。昨秋の世界選手権では中国、ロシアに次ぐ3位に終わり、危機感が漂う中、ライバルとの合同練習で巻き返しへのきっかけをつかめるか。
元号が変わる5日前に生まれた内村航平 節目の年を語る
内村航平が逆上がり上達法伝授 コツは蹴り・あご・まね
「中国とやるのは初めて」と王者の内村航平。日本体操界の過去を振り返ってもほとんど例がない合同合宿について、「中国がどんな練習をしているのか。自分の練習はそっちのけで見たい。少しでも謎が解明できれば」と話す。
1月27日~2月3日に、内村や昨年の全日本個人総合選手権を制した谷川翔らトップ選手が中国のナショナルトレーニングセンター(NTC)へ出向く。そして2月11日~16日に、今度は中国のトップ選手らが日本に来る。
男子の水鳥寿思強化本部長が狙いを説明する。
「土台作りのためにいろんな技術、情報を共有、吸収したい」
昨秋の世界選手権で中国、ロシアと差をつけられたのは「Eスコア」。美しさや雄大さなど、いわゆる「出来栄え」の評価の部分だった。「(Eスコアの)点の残り方。点を引かれない体操を中国はしていると感じた。Eスコアへの対策をしたいというのが一番の狙いです」
かねて中国の技術の高さに注目していた水鳥本部長が9月に訪中。中国の強化担当者と話をする中で、「日中はライバルだけど、しっかり高め合って、世界のトップに立ち続けよう、となった」。互いに手の内を隠すより、情報共有による相乗効果を狙いたいという両者の意図が一致した。
「(五輪に向け)変える機会はここしかない。基本的なことから徹底してやりたい」と水鳥本部長。
巻き返しのヒントを外部に求める試みは、1月11日から14日まで行われた強化合宿でも行った。ロシア選手の映像を見て力の入れ方を学んだり、新体操の山崎浩子強化本部長を招いてひざやつま先の伸ばし方をレクチャーしてもらったり。
内村は「チームとして体操の質を上げていくことを徹底したい。まず、率先して僕がやる」と意気込んでいる。(山口史朗)