阪神・淡路大震災以降、「災害関連死」と認定された犠牲者は少なくとも約5千人に上る。避難生活の厳しさから心身の調子を崩した例が多いとみられる。阪神大震災から24年、被災者を取り巻く環境は抜本的には改善されず、3年前の熊本地震では関連死が直接死の4倍超に。専門家からは「社会の対応を改善することで減らせるはずだ」との声が上がる。
災害関連死を防ぐ合言葉TKB 過ごしやすい避難所とは
災害弔慰金制度に基づく関連死は1995年の阪神大震災から認められるようになった。市町村が認定する際の統一的な基準はなく、ばらつきがあるのが現状だ。制度を所管する内閣府は、関連死の認定は市町村の事務だとして正確な数を把握していない。朝日新聞が、死者・行方不明者が多く、避難生活が長期にわたった15の地震や風水害について自治体や復興庁などに取材したところ、計4939人が関連死と認定されていた。
阪神大震災では921人、2011年の東日本大震災は3701人。昨年7月の西日本豪雨でも27日までに15人が関連死と認定された。阪神大震災では避難所でインフルエンザが流行し、肺炎での死者が多かった。熊本地震では肺炎や気管支炎、心不全やくも膜下出血が多発。04年の新潟県中越地震では車中泊が多く、エコノミークラス症候群による関連死が問題となった。
東日本大震災の場合、東京電力福島第一原発事故が起きた福島県で長引く避難暮らしが一因となり、新たな認定が最近まで続いている。避難生活中に自ら命を絶ち、関連死として認められたケースも少なくない。
慶応大の山口真吾准教授は「(約5千人の死者数は)災害関連死自体が一つの巨大災害に匹敵するといえる。関連死は物資や医療サービスなどを迅速に被災者に届ければ防止できる」と指摘する。(竹野内崇宏)