富山市の交番で警察官が殺害され拳銃を奪われた事件などを受け、警察庁は拳銃が奪取されにくい構造に改良した新型の拳銃入れの導入を決めた。まず年度内に6千個を富山県警や警視庁、大阪府警などの地域警察官に配備することを検討。来年度予算案にも約3万個分を計上しており、全国で順次配備していく。
拳銃入れの仕様などを定めた国家公安委員会規則の改正が31日決まった。現在のものから形状を変え、材質を革製から樹脂製に変更して、装着している警察官以外の者が拳銃を拳銃入れから抜き取りづらい構造に改良した。警察庁は「安全上、支障がある」として、具体的な構造は明らかにしていない。
富山市の事件は昨年6月、富山中央署奥田交番で元自衛官の男が警察官を刃物で殺害し、拳銃を強奪。近くの小学校付近で拳銃を発砲し警備員の男性を射殺、校舎内にも撃ち込んだ。同市では今月24日にも富山西署池多駐在所で男が警察官を襲撃。男は拳銃を奪うつもりだったと供述しているという。
拳銃を目的に警察官を襲う事件は過去にも起きている。また、仙台市の交番でも昨年9月、警察官が男に刺殺される事件があった。
こうした事件を受け、各地の警察では交番の施設面で工夫するなど安全対策を進めている。警察庁は昨年12月、刃物を使って拳銃を奪おうとする襲撃などに対処するための逮捕術の新たな要領を示した。(編集委員・吉田伸八)