国内最大の総貯水容量を誇る徳山ダムに沈んだ旧徳山村(現・岐阜県揖斐川町)で、夏の風物詩だった盆踊り「徳山踊り」が消滅の危機にある。ダム完成から10年が過ぎ、旧村民の高齢化で踊り手も減った。インターネットなどで現状を知った都会の若者たちが2月、東京都内で踊りを再現するイベントを開く。
ヤフーの記事、若者をつなぐ
「ホッソレ」「ホッソレ」。昨年10月21日、静かなダム湖に面した集会施設「徳山会館」で、独特なかけ声が響いた。声の主は旧村民で作る「ふるさと会」のメンバーたち。年に1度集まって踊り、帰れぬ故郷を懐かしんできた。多くが高齢者だが、今回はその輪に20~30代の男女6人が加わった。ツイッターや全国の盆踊り会場などで知り合った仲間たちだ。
東京都品川区の会社員野口沙絢(さあや)さん(29)は盆踊りが大好きで、同じ岐阜県の郡上おどりにも参加したことがある。昨春、ヤフーの特集記事で、徳山踊りが担い手不足にあることを知った。筆者がたまたま知人だったことにも縁を感じ、思い切って徳山踊り保存会代表の小西順二郎さん(72)に連絡した。仲間と一緒に訪ね、DVDと歌詞カードを持ち帰って練習した。
独特な踊り、練習はユーチューブに
徳山踊りは、村の情景を歌った約10種類の曲がある。動きも独特で、ゆったりと腕を伸ばして手のひらを返し、足を蹴り上げる。お盆だけでなく、酒盛りの席でも誰からともなく踊り始め、自然に輪が広がったという。
「沈んだ村のように、いずれ徳…