茨城県は、LGBTなど性的少数者に対しての差別禁止を条例で明文化する。2月開会の県議会で成立した場合、都道府県でLGBTへの差別禁止を明文化するのは東京都に次いで2例目。また、条例とは別に、同性カップルに対して書類を発行するなどの対応も検討している。
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現在ある男女共同参画推進条例を改正して対応する。改正案は2月27日開会予定の県議会に提出、4月1日施行を目指している。
県が30日までに県議会の主要会派に示した改正案によると、LGBTに対する差別禁止として、「何人も性的指向および性自認を理由とする不当な取り扱いを行ってはならない」などとする項目を加える。
また、条例ではLGBTに加え、セクシュアルハラスメントなどを含めた問題に対する偏見、いじめを防止するため、県が情報提供や指導など必要な施策を講じることも規定する。いずれの項目にも罰則はない。
県人権施策推進室によると、東京都渋谷区などが条例を定めて実施している、同性カップルに対して証明書発行などを行う「パートナーシップ制度」は盛り込まないが、後日に定める要項などで、パートナーであることを示す書類を出すなどの対応を検討している。
実施している自治体では、現在は断られるケースもある病院での面会や手術の同意、会社の家族手当の受け取りなどの際に、証明書類として扱われることなどが期待されている。実現した場合、都道府県では初となる。
県は昨年11月に改定した県総合計画で規定した「人権を尊重し、多様性を認め合う社会」の中で、性的少数者を含めた人権問題の対応を盛り込んでいた。県議会最大会派のいばらき自民は、「同性カップルを認めるパートナー制度は党内の意見は分かれるが、差別禁止については進めるべきだ」としており、条例改正案については可決される見込みだ。(重政紀元)