「毎月勤労統計」の不正調査に続き、「賃金構造基本統計」でも厚生労働省がルール違反の調査を長年続けていたことが明らかになった。必要な手続きをせずにこっそり調査方法を変え、表面化を避けるようにひっそり修正を図り、外部の力によって発覚する。二つの統計問題の構図はそっくりだ。
勤労統計と賃金統計はいずれも国の基幹統計。勤労統計問題は、外部有識者による特別監察委員会が検証の中間報告書を公表したが、「事実解明が不十分」との批判が相次ぐ。賃金統計問題は経緯が一切明らかになっていない。自民党の小泉進次郎厚労部会長は1月31日の党会合で、「厚労省は回っていない。全体のガバナンスが利いていない」と厳しく批判した。
二つの統計の担当部署は異なるが、同じ政策統括官付参事官(課長級)が所管する。昨年7月の組織変更前は、賃金統計の担当部署は勤労統計の担当部署の下部組織だった。
勤労統計は従業員500人以上の事業所を全て調べる必要があるのに、厚労省は2004年から東京都分で抽出調査を開始。賃金統計は「調査員調査」のはずなのに、「かなり前」(厚労省幹部)から「郵送調査」をしていた。いずれも総務相に届け出た調査計画の変更手続きをしていない。
隠蔽(いんぺい)が疑われる動…