家庭の食卓が多様化し、みその消費量が減りゆく中、今年で創業101年を迎えた老舗が奮闘している。兵庫県芦屋市の「六甲味噌(みそ)製造所」。みそのファンを増やそうと、地域に密着しながら、アイデア商品を生み出したり、海外輸出を始めたり、挑戦が続く。
阪神間を貫く大動脈、国道2号。チェーン店の看板が並ぶ沿道に、「六甲みそ」の文字が現れる。
米こうじを育て、大豆や塩とまぜ、たるで寝かせる。従業員18人。みそづくりの全工程がここで進む。
創業は1918(大正7)年。大阪で兄弟とともにみそ漬物業を営んでいた初代が独立し、神戸・長田に店を構えた。
しかし、戦争末期の45(昭和20)年、米軍の空襲で店が焼失。芦屋市楠町の現在地に移転し、みそ専業の「六甲味噌」として再起した。当時は田畑に囲まれていたという。
戦後、阪神間には多くの企業が進出した。工場には食堂ができ、労働者の給食向けに、みそは大きな需要があった。
だが近年、工場を郊外に移したり、給食を弁当にかえたりする企業が目立つ。加えて、家庭での「和食離れ」も進んだ。95年には阪神・淡路大震災で工場が全壊した。
「苦しいこともあったが、新た…