名古屋刑務所(愛知県みよし市)でインフルエンザの集団感染が発生。4日までに300人を超す受刑者と職員が感染した。なぜこんなに広がったのか。
名古屋刑務所で300人インフル 刑務作業の一部中止
「感染経路が特定できていない。再び感染が拡大することが一番こわい」。名古屋刑務所の山本浩志調査官は5日、朝日新聞の取材にこう答えた。同刑務所によると、今シーズン、初めて受刑者のインフルエンザへの感染が判明したのは、昨年12月20日ごろ。その後は1日あたり最大4人程度の感染が続いた。受刑者、職員ともにマスクを着用し、うがいを励行。感染者は別の居室に移して隔離するなどの対策をとったが、1月24日以降、急増した。
治った人も含めると今月4日までに受刑者222人(全受刑者1710人)、職員95人(全職員452人)の計317人が感染。5日現在も19人が罹患(りかん)している。受刑者の感染記録が残る直近5年間では、受刑者109人が感染し最多だった2015年度の2倍以上にのぼる。
同刑務所では、自動車部品や家具の製造、印刷などの刑務作業をし民間企業に納入しているが、感染拡大を防ぐため、先月28日から中止。受刑者は居室で「自習」している。「再開のメドはたっていない」と山本調査官は話す。
全国の刑務所や少年院などの矯正施設を統括する法務省矯正局の川村裕樹・矯正医療管理官補佐官は名古屋刑務所での集団感染について、「これほどの規模は聞いたことがない」と驚く。今月1日、全国の矯正施設に改めて注意喚起を呼びかけたという。
予防接種は一部のみ
全国の矯正施設では、どのようなインフルエンザ対策をとっているのか。
法務省矯正局によると、受刑者…