自由研究を手にする笠島彩楓さん(右)と母の由紀さん=三重県桑名市、山内深紗子撮影
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ママのがん、もう怖くない――。3年前、母(44)にステージ4のがんが見つかった。友達ががんについて知らないことに戸惑った小6の娘(12)は病気を学び、夏休みの自由研究にまとめた。親子は今、がんと向き合い、語る活動を始めている。
がんとともに
「がんの痛みは体だけでなく心もある。緩和ケアはどちらも癒やします」
1月下旬、名古屋市内の診療所。三重県桑名市の小学6年生笠島彩楓(さやか)さん(12)は、子どもが中心になってがんを学ぶ会「どあらっこ」の参加者12人に語りかけた。
「心の痛みってとれるのかな?」と聞かれると、「病院だけでは治せない。身近に心を開いて悩みを話せる人が大事だと思う」と答えた。「親ががんになった時、不安な気持ちをどうしましたか?」との質問には「大人に言えない時もあるから、友達にも理解者がいるといいな」。
母の由紀さん(44)は娘が話しやすいように時々部屋をのぞいて見守った。年に数回、こんな集いで話をしている。
自由研究を手にする笠島彩楓さん(中央)、母の由紀さん(右)と父の大士さん=三重県桑名市、山内深紗子撮影
彩楓さんが小学校3年生だった2015年12月、由紀さんの気管支にがんが見つかった。「不安にさせたくない」と夫の大士(ひろし)さん(45)と話し合い、がんを伏せた。その後、がんは肝臓などに転移し、放射線や抗がん剤治療を続けた。だが、隠すほどに彩楓さんは質問してきた。「何をひそひそ話しているの?」「また、病院? 何するの?」。由紀さんは、うそを重ねるのが苦しくなっていった。入院中は毎朝電話で話していたが、彩楓さんは頭痛を訴え、1週間学校を休んだ。もう隠せない――。
「ママの病気、がんなの」。1…