同性カップルにも結婚の自由を――。香川県三豊市に住む1組の同性カップルが4日、市に婚姻届を提出した。届は「不適法」として不受理に。2人は14日、「同性婚ができないのは、法の下の平等を定めた憲法に違反する」などとして、他のカップルとともに大阪地裁に訴訟を起こす。
女性カップル、札幌市に婚姻届 不受理の見通し、提訴へ
同性婚合法化、8割が肯定的 電通調査の20~50代
婚姻届を出したのは、田中昭全(あきよし)さん(41)と川田有希さん(33)。午前に市役所を訪れ、職員に手渡した。届の「妻」の文字は消し、お互い「夫」として名前を書いた。
「男性同士による婚姻届の提出は不適法のため、受理することはできません」。十数分後、審査を終えた職員が告げた。「結果は分かっていたが、寂しい」。田中さんは苦笑した。
11年前から、パートナーとしてともに暮らす。数年前には、市内に中古住宅を購入。「終(つい)のすみか」と決め、自分たちの手で改修を進めている。
同性婚は法制化されていないため、2人の関係を法的に保障するものはない。気がかりなのは、相手に何かあったときのことだ。「家族ではない」と、病院での付き添いや手術の同意を断られるかもしれない。相続では、配偶者を対象とした減税も受けられない。「愛し合う2人が一緒にいるのだからそれでいい、という問題ではない」と田中さんは言う。
法的保障を得るため、同性カップルのなかには養子縁組を選ぶ人たちもいる。だが、2人は「僕たちは親子ではない。対等なパートナーとして認められたい」。同性婚の法制化をめざし、声を上げると決めた。提訴はそのための一歩だ。
原告弁護団によると、14日は全国13組の同性カップルが、国に慰謝料を求めて4地裁に一斉に提訴する。川田さんは「これから良い方向にいけたら」。田中さんは「同性カップルがここにいて、普通に暮らしていることを知ってほしい」と話した。(尾崎希海)