世界三大穀物の一つであるトウモロコシの栽培化は、これまで考えられていた中米だけでなく南米でも進み、より複雑な過程をたどったことが、米スミソニアン自然史博物館などの国際研究チームの研究で分かってきた。トウモロコシ栽培の歴史を書き換えることになりそうだ。
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トウモロコシの栽培化は約9千年前に中米のメキシコで自生植物のテオシントを原種に始まり、6500年ほど前までには果軸が大きくなった栽培品種が生まれ、南米にも広がったと考えられてきた。
しかし、近年のDNAの研究で、メキシコで見つかった約5千年前のトウモロコシが原種と栽培品種の中間的な性質を持つことが示され、6500年ほど前に栽培品種が生まれたとする従来の考え方は見直しを迫られていた。
国際チームは、南米の在来系統を含む100品種以上のトウモロコシのDNAを解析し、その由来を再検討した。その結果、7500年ほど前にメキシコから持ち出された原種が、約6500年前までには現在のブラジルとボリビアにまたがるアマゾン南西部で半栽培品種となっていたとの結論に達した。
半栽培品種は約4千年前までにはアマゾン東部の低地へも持ち込まれ、土壌改良など農業の発展と結びつきながら、1千年ほど前まで改良が続いたとみられる。トウモロコシの栽培化には原産地のメキシコばかりでなく、アマゾンの広い地域も大きく貢献したと考えられる。
論文は米科学誌サイエンス(DOI: 10.1126/science.aav7358)に掲載された。(米山正寛)