ヤフーは13日、ネット検索などで大量に集めた「ビッグデータ」を企業の商品開発などに生かすサービスを始めると発表した。ヤフーのサイトでの検索やネット通販、地図情報などの利用で大量に集められたデータを外部の企業も使えるようにし、商品開発に生かしてもらう。様々なサービスを一元化したポータルサイトを運営する強みを生かし、新たな事業の柱に育てたい考え。今秋にも開始し、2019年度中に100社での導入をめざす。
ヤフーが持つ検索や購買、位置情報などのビッグデータを顧客企業が持つデータと組み合わせ、商品企画や混雑・需要などの予測、生産や物流の最適化に生かす。ヤフーが出資するスマホ決済サービスの「ペイペイ」とも連携し、今後は実店舗のデータも活用するという。
どんなキーワードが検索されているかを分析して飲料メーカーが新商品の開発に生かしたり、人の移動データを自治体の再開発の検証に役立てたりすることを想定している。
これまで江崎グリコと行った実証実験では、ある栄養素を検索している女性は、一般女性と比べて筋トレやトレーニングといった検索が多かったという。すでにこの栄養素に関わる商品を開発中で、今後さらにデータを活用する予定。江崎グリコの担当者は「興味関心や人物像の分析などもできる。従来調査に比べて時間も大幅に短縮できる」と話した。
ヤフーの川辺健太郎社長は会見で「ヤフーはデータとAI(人工知能)の会社になる」と話し、ネット通販、金融、広告の中心3事業に次ぐ4本目の柱に育てる意向を示した。
ヤフーから企業に提供されるデータは匿名化されるが、集めた個人データを他社が活用することには懸念も出そうだ。川辺社長は「社会通念上許容できないような状態で無理に行うつもりはない。データはユーザーのものであるという原則に立ち、わかりやすくオプトアウト(データを利用されないようにユーザーが選ぶこと)できるようにする」と話した。(栗林史子)