東京証券取引所第1部に上場する企業の社外取締役が、平均で年663万円の報酬を受けていることが、朝日新聞と東京商工リサーチの調査で分かった。社外取締役を巡っては、外部の目で経営監視を強化する観点から、法務省が大企業に義務づける法改正案を国会に提出する方針。元官僚らが複数の会社から1千万円を超える報酬を受ける例も目立ち、高額報酬に対する批判も出そうだ。
2018年4月末時点で東証1部に上場する約1980社の社外取締役について、株主総会の資料などから調べた。
開示済みの社外取締役の報酬総額を役員数で割ったところ、800万円以上が3割を占めた。200万円未満も5%あった。
特に高いのが、日経平均株価に採用されている企業だ。日経平均には日本を代表する上場企業225社が採用されているが、うち報酬が判明した218社の平均は1200万円。それ以外の東証1部は598万円で、倍以上の差があった。
高額のケースをみると、1位が日立製作所の3944万円、2位が岩谷産業3900万円、3位が住友不動産3225万円だった。金額を決めた理由について、日立は「グローバル視点が必要で、その水準になっている」(関係者)。岩谷と住友不は「特にコメントはない」と説明する。そのほか、野村ホールディングスなど17社が2千万円を超えていた。
カルロス・ゴーン前会長の逮捕で揺れる日産自動車は社外取締役1人に200万円を支払った。その後、18年6月からは3人に増員している。
東証1部の社外取締役は約5千人で、このうち経営者・元経営者が半分の約2670人。弁護士が約730人、会計士・税理士が約530人で続く。官僚や日本銀行などのOBは約480人。官僚OBの平均報酬は約750万円で、全体平均より100万円ほど高い。大学教授ら学識経験者が430人だった。
複数の企業を掛け持ちしている人も多く、4社以上兼務する社外取締役がいるところが約300社あった。兼務社数の最多は8社で3人。7社と6社が各4人いた。合計の報酬が5千万円を超える人もいた。
社外取締役については、5年ほ…