亡き娘が見守る「百合文庫」 20年で読み聞かせ1千回——贯通日本资讯频道
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亡き娘が見守る「百合文庫」 20年で読み聞かせ1千回

毎週土曜日になると、子どもたちのにぎやかな声があふれ出す民家が山口県下関市にある。「百合(ゆり)文庫」と名付けられた私設文庫。列車事故で失った娘をしのんで母親が開設し、今月、20周年を迎えた。本を読む楽しさを子どもと分かち合う絆が根付いている。


9日の昼下がり。子どもたちに本を読み聞かせる「おはなし会」は956回目を数えた。親子連れら30人近くが集まり、玄関に靴が収まらないほどにぎわった。「大きくなったねえ。何歳になったんかね?」。遊びに夢中の幼児らに、岡藤秀子さん(62)は保育園の園長らしく、優しく語りかけた。


仕切りを外して二間続きにし、廊下や縁側、げた箱の上まで、子ども向けの本がびっしりと6900冊並ぶ。1人5冊まで2週間借りることができ、子ども3人を連れてきた近所の主婦(35)は「近くに図書館はないし、年齢に合った本を紹介してもらい、助かっています」。


床の間に置かれた女の子の遺影が、和やかな場を見守る。岡藤さんの次女で4人きょうだいの末っ子だった百合子さん。1998年11月、帰宅途中に自宅近くの踏切で列車にはねられ、亡くなった。


小学2年生だった。家事をする岡藤さんに、自分から絵本を読んで聞かせてくれた。「お友達が来て、気軽に本を読める場があれば、百合子も喜んでくれるかな」。岡藤さんはそう思い立ち、3カ月後、自宅に「百合文庫」を開いた。


家族や仲間の支えがあった。中学校教諭だった夫の晋治さん(62)は様々な木製パズルを手作りで仕上げた。岡藤さんが参加していた小学校PTA有志のサークル「ぷくぷくポケット」のメンバーも、百合文庫での絵本の読み聞かせや人形劇上演を重ねた。


人懐っこかったという百合子さん。メンバーからも我が子のようにかわいがられた。サークル代表の川上泰代さん(59)は楽しみながら活動を続けることで「生きがいになった」と話す。


当初1700冊だった蔵書は、助成金などで買い足し、少しずつ膨らんでいった。かつて文庫に通った子が親になると、自分の子どもを連れて戻ってくるようになった。


岡藤さんにとって何よりうれしいのは、そうした本が引き寄せるつながりだ。「みんながお父さん、お母さんになる時まで続けていきたいと思います」。9日のおはなし会で子どもたちにそう語った。


晋治さんもにこやかな表情を浮かべた。「来ていただけるのはありがたい。百合子も喜んでいると思う」


地域に根を張る子ども文庫のネットワークは脈々と続いている。


岡藤さん親子がよく通ったのが、下関市の勝山公民館図書室に拠点を置く「あおやま文庫」。70代女性を中心に、読み聞かせなどの活動歴は42年になる。代表の黒瀬圭子さん(85)は児童文学者で、民話の語り部でもある。


北九州市門司区で生まれ育った黒瀬さん。小学5年の頃、東京からの転校生の家で毎日のように、文学全集に読みふけったのが原点だ。7人きょうだいの上から5番目で「食べることで精いっぱい」の暮らし。港から戦地へ向かう軍用船を日の丸の小旗を振って見送った。「そういう時代だったからこそ、本が夢の世界へ導いてくれた」


下関の児童書専門店も、岡藤さんらの活動を後押しする。横山真佐子さん(71)が代表を務める「こどもの広場」。今年、開店から40周年を迎える。百合文庫開設の前から、岡藤さんと親交があった。


学校の図書室に置く本を児童・生徒に自ら選んでもらう「選書会」と、本の内容を少しだけ紹介して興味を引く「ブックトーク」に20年以上、取り組んできた。島根県にも活動の幅を広げている。


「山口県では子どもと向き合って活動している人たちが緩やかにつながっているのが大きい」と横山さんは言う。「一緒に本を読むことで、子どもの成長に気づく。小さい時にこそ、本を通して家族のぬくもりを感じさせてほしい」(貞松慎二郎)


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