ズワイガニが豊漁なのに、取ってはいけなくなる。全国屈指の水揚げ量を誇る鳥取県はこの冬、前代未聞の状況に陥る危険性があった。知事が「蟹取(かにとり)県」とことあるごとにPRする鳥取で、いったい何が起こっていたのか――。
「昨年12月には、もう取れなくなってしまうのではと心配していた」。鳥取市の水産業者「かねまさ・浜下商店」の浜下哲爾(てつや)社長(48)は、当時の状況をこう語る。解禁日は11月6日。初競りでは、甲羅の幅14・6センチのズワイガニが、ギネス世界記録となる200万円で落札された。この勢いのまま豊漁が続き、11月時点で水槽が一時足りなくなるほどだった。
なぜ豊漁なのに取ってはいけな…