安倍晋三首相は20日の衆院予算委員会で、首相や河野太郎外相が北方四島を「日本固有の領土」と表現せず「我が国が主権を有する島々」としていることについて、「表現は異なるが、北方領土が置かれた状況についての法的評価は同じだ」と述べ、政府の従来の立場は変わっていないと主張した。国民民主党の前原誠司氏の質問に答えた。
安倍政権は、1956年の日ソ共同宣言で平和条約締結後に日本に引き渡すと明記された歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島の事実上2島に絞って返還交渉を進める方針だ。
前原氏は「固有の領土と言ってきた立場をひっくり返して『ロシアのものでした。2島を返して下さい』ということではないか」と姿勢をただした。首相は「(前原氏の)発言や思いを、多くの国民が共有していることは率直に認める」と理解を示したものの「静かな状況の中で交渉できるかどうかにかかっている。政府の立場としてはとにかく交渉を前に進めていくことを最優先で考えなければならない」と、詳細は明らかにしなかった。
一方、立憲民主党会派の江田憲司氏の交渉を焦るべきではないとの指摘に、首相は「時が経過したら歴史のかなたに消えていく危険性すらある。既成事実を重ねられてしまう」と、決着を急ぐ姿勢を強調した。