熊本市の伝統的な祭り「藤崎八旛宮例大祭」で昨年9月、祭りの行列で馬をたたいて虐待したとして、熊本県警は22日、参加した団体のうちの3団体計12人を動物愛護法違反の疑いで熊本地検に書類を送り、発表した。県警は認否などを明らかにしていない。
発表によると3団体のメンバーらは昨年9月16日、「神幸行列」に参加。飾りをつけた3頭の馬を連れて練り歩く際、むちのようなものでたたいたり、馬体の一部をつかんだりして、虐待した疑いがある。
昨年の例大祭は9月13~17日にあり、神幸行列には70団体が参加した。祭りの直後、馬の尻や脚付近をたたく様子の動画がインターネットで拡散。東京の動物愛護団体が同法違反の疑いで刑事告発していた。県警によると、3頭の馬にはけがはなかったという。
藤崎八旛宮例大祭の神幸行列は、江戸中期に肥後藩の家老が馬を奉納したのが始まり。飾り馬が勇壮に練り歩くことで知られる。参加団体を束ねる藤崎八旛宮飾馬奉納団体奉賛会によると、かつては馬に酒を飲ませて興奮させたり、たたいて暴れさせたりすることを良しとしたこともあった。批判が出るようになり、10年ほど前からはほとんど見られなくなったという。
今回の書類送検を受け、奉賛会の猪本恭三会長(68)は「市民に愛される祭りをめざし、今後は馬の虐待と思われる行為をする団体は出場停止にするなど厳しい処分をしていく」と話している。(清水優志)