旦過市場(北九州市小倉北区)の入り口に立ち、「丸和」の略称で市民に親しまれてきたスーパー「丸和小倉店」の店名が、1日から「ゆめマート小倉」に変わった。運営母体の変更に伴うものだが、近隣の商店主らは長年呼びならわしてきた名前が消えることを寂しがっている。
丸和小倉店は、後に幅広くスーパーを展開した「丸和」会長の吉田登さん(故人)が1946年、旦過市場で開いた食料品店が前身。56年には買い物客が自分で商品をかごに入れてレジで代金を支払うセルフサービス方式を、79年には全国のスーパーでは初めて24時間営業を導入した。
その後、同業のユアーズ(広島県)が丸和を吸収合併。店名は残されたが、1日に丸和小倉店の運営が「ゆめマート北九州」(旧スーパー大栄)に移ったことに伴い、店名も変わることになった。
1日に店に足を運ぶと、出入り口の自動ドアには「youme マート」の文字が書かれ、レジには店名変更を知らせる紙が貼られていた。ただ、店外の「丸和」「MARUWA」の看板はそのままだった。副店長の野見山覚さん(67)によると、旦過市場の再整備が検討されていることから、看板の取り外しや取り換えは見送ったという。24時間営業も続けるといい「変わらずご愛顧いただければ」と話した。
近くでおでんやラーメンの屋台や店舗を運営する「丸和前ラーメン」社長の古賀妙子さん(60)は「商売が難しくなる時代柄、仕方ないのかも知れないが、『丸和』の名前が消えるのは寂しい」と話した。
両親が60年ほど前、丸和小倉店の前に屋台を出したのが始まりで、店名は客が発案した。吉田登さんからの了解を得て「丸和前」を名乗るようになった。
道路の拡張などで、いまは少しだけ離れた場所で営業しているが、常連客に親しまれた「丸和前」の名前はスーパーの店名変更があっても変えるつもりはないという。
スーパーの向かいで果物店を営…