兵庫県明石市長だった泉房穂(ふさほ)氏(55)が職員への暴言問題で辞職したことに伴う市長選が10日告示され、元市長で無所属の北口寛人(ひろと)氏(53)、元県議で共産新顔の新町美千代氏(71)、前市長で無所属の泉氏の3人が立候補した。17日に投開票される。
泉氏は国道用地の買収の遅れに怒って「(建物に)火つけてこい」と職員に暴言を浴びせた録音データが発覚し、4月の2期目満了を待たず2月に辞職。今月7日に立候補を表明した。市選管によると、出直し選の費用は最大約8千万円。公職選挙法の規定で、泉氏が当選すると4月に再び市長選がある。この場合、市議選とダブル選になり、さらに最大約1億7千万円がかかる。他候補が当選すると任期は4年間。
北口氏は市役所前での第一声で、4月に再び選挙になると「市民の税金が無駄になる」と訴えた。泉氏の前に市長を2期務めた経験を強調し、手厚い子育て支援策は自分が「元祖」と主張。全国ワースト(昨年4月時点)の待機児童の解消に取り組むとした。
新町氏は選挙カーに「パワハラを根絶します」と記したパネルを掲げ、市内を巡回した。第一声では「暴言は絶対に許してはいけない。憲法のおおもとである個人の尊厳がしっかり守られることが大事。市長が手本になる」と訴えた。
泉氏は立候補の届け出を自ら行った後、選挙事務所で「多くの職員が日曜の今日も一生懸命働いていた。自分には感謝の気持ちが欠けていた」と述べた。街頭でも謝罪を繰り返し、「自らの責任を負い続けていくが、明石の未来への責任もしっかり果たしたい」と訴えた。立候補表明が遅れ、市選管が配る選挙公報用の原稿は間に合わなかった。