アイスホッケーのアジアリーグは10日、プレーオフの決勝(3戦先勝方式)第2戦が北海道釧路市の日本製紙アイスアリーナで行われ、今季限りで廃部するリーグ4位の日本製紙が同2位のサハリン(ロシア)に2―5で敗れた。通算2敗となり、初優勝を狙うサハリンに王手をかけられた。
日本製紙にとって釧路で戦う最後の公式戦。第1ピリオド(P)に先行されたが、第2PにFW上野が同点ゴール。第3Pに勝ち越された後、FW高木のゴールで追いついたが、すぐに3連続失点した。
14日の第3戦以降はサハリンの本拠地ユジノサハリンスクで行われる。
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チーム最年長、40歳のDF伊藤の目が潤んでいた。「ラストのホームゲームで勝てなくて悔しい」。日本製紙クレインズとして釧路で戦う最後の公式戦。2連敗を喫し、追い込まれた。
最後の雄姿を心に残そうと、会場は今季最多の3011人で満員に。だが、第3P、2―2の同点に追いついた後、フェースオフからこぼれたパックを打ち込まれて決勝点を奪われた。
「反骨心」。1949年に創部した前身の旧十条製紙時代から、チームに受け継がれる精神だ。日本リーグ時代は西武鉄道や国土計画、王子製紙が立ちはだかり、一度も優勝できなかった。「弱かった時期にチームに入って、なにくそ、の思いでやってきた」。伊藤は遠い昔に思いをはせる。
そんなチームを見放さない釧路のファンらを喜ばせたのは、名門チームの休廃部を受け、アジアリーグが始まってからだ。頂点に立つこと4度。廃部が決まった今季もリーグ4位からの下克上をめざし、ファンとともに夢をつないできた。
5季ぶりの優勝へ、崖っぷちに立たされた。「チャレンジャーとして死にものぐるいで戦いたい」。主将のFW上野の思いだ。伝統の「反骨心」を力に変えられるか。(笠井正基)