スピードスケートのワールドカップ(W杯)最終戦は9日、米ユタ州ソルトレークシティーで行われ、男子500メートルで新浜立也(高崎健康福祉大)が従来の世界記録を上回る33秒83で2位に入った。
パベル・クリズニコフ(ロシア)が自身の世界記録33秒98を更新する33秒61で優勝。村上右磨(村上電気)は34秒11で3位、羽賀亮平(日本電産サンキョー)は34秒23で5位。
女子500メートルの小平奈緒(相沢病院)は36秒47の日本新で優勝したが、世界記録36秒36の更新はならなかった。曽我こなみ(日本ハウスH&R)は5位、辻麻希(開西病院)は7位。
女子1000メートルでは、高木美帆(日体大助手)が従来の世界記録を上回る1分11秒71で2位、小平も1分11秒77で3位。ブリタニー・ボウ(米)が1分11秒61の世界新で優勝。男子1000メートルはキエルド・ナウシュ(オランダ)が1分6秒18の世界新で勝った。
日本男子初の33秒台
日本男子で初めて、22歳の新浜が500メートルで33秒台を出した。「自分のレースをして出たという感じ。滑っているときは出ている感じはしなかった」。従来の世界記録33秒98を0秒15縮める33秒83。ゴール後すぐには気付かず、リンクを半周してからようやく両拳を力強く突き上げた。
183センチの長身ながら敏しょう性があり、スタートから速い。100メートルはクリズニコフを0秒17上回る9秒50。残りの400メートルでは持ち味の力強い滑りで加速し、加藤条治が2013年にマークした日本記録34秒21を大幅に更新。世界屈指の高速リンクで、気象条件も整ったとはいえ、快記録には違いない。
しかし、その喜びはつかの間だった。2組後に滑ったクリズニコフが自身の記録を更新する33秒61をたたき出し、優勝も世界新もさらわれた。
新浜は「まさか自分が33秒台を出せるとは思っていなかった」と謙虚に語るが、世界記録をすぐに塗り替えられたことには悔しさも残った。「さらにここから上を目指して、もう一回世界記録の更新を目標に頑張りたい」と力強く誓った。
高木美、表情に充実感
高木美が女子1000メートルで、世界記録保持者の小平を破った。同組で滑り、最後のバックストレートまでは大きなリードを許したが、ラストの追い上げでかわし、「頑張りました」。ゴール後は珍しく派手なガッツポーズを見せた。
自己記録を0秒92更新する1分11秒71はこの時点では世界新。「世界記録も、これだけタイムを縮められたことも、小平選手を差し切れたこともうれしかった」。表情には充実感が漂った。
好記録の出やすい高速リンクとあって、世界記録は次の組のボウにあっさり塗り替えられ、一瞬に終わった。高木美は「世界と比べると、もう一つ越えないといけないと感じる部分がある。悔しい気持ちをバネにして進んでいきたい」。大きな成長を見せたスプリント種目でも、さらなるステップアップを目指す。(時事)