三重県在住の緩和ケア医、大橋洋平さん(55)が昨年末の本紙「声」欄で、がんになって実感した苦しみを告白し、闘病する人へ「しぶとく生きて!」と呼びかけました。そのメッセージに励まされた読者の投稿が寄せられるなど、反響が続いています。いまも非常勤医として働き、患者としても治療を受けている愛知県弥富市の海南病院に、本人を訪ねました。 がんとともに ネクストリボン 12月29日「声」欄より要約 2018年6月、胃に悪性腫瘍(しゅよう)が見つかった。今は抗がん剤治療中だ。 私は終末期がん患者に関わるホスピス緩和ケア医で、誰より患者とその家族に寄り添えると思ってきた。でも自分がなって初めて「患者のリアルな苦しみ」に気づいた。本当に手術できるのかと苦しみ、手術後は管を何本も付けられて30センチもある傷の痛みに苦しみ、退院してからは胸やけや吐き気、食欲不振に苦しむ。 でも私は生きている。「がんになってもよりよく生きる」とホスピス緩和ケアの領域で言われるが、「よく」など生きられない。確実に弱っているからだ。 でも、これからをしぶとく生きていく。全てのがん患者に「しぶとく生きて!」とエールを送りたい。 がん患者で緩和ケア医の大橋洋平さんに聞く 私の胃に見つかった「消化管間質腫瘍(しゅよう)」(GIST〈ジスト〉)は10万人に1~2人と言われる希少がんです。胃をほぼ全摘する手術で一応切除し、転移もなかったんですが、調べると悪性度や再発リスクが驚くほど高かった。 手術後は半年近く、本当に食べられんかったんです。食道と胃の間のキュッと締める部分がないから消化液が逆流し、横になるとそれが強まって吐き気も伴う。寝る時も椅子に座ったまま夜明けを迎えることが何日も続きました。 食べなきゃと焦っても、小さい… |
がんになった緩和ケア医 「患者風」吹かせ好きなように
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