お金に困った女性に投資話を持ちかけ、多額を出資させたのに、約束した配当は払われない――そんな怪しい資金集めに、スルガ銀行(静岡県沼津市)の無担保融資が悪用されていた。集めたお金は5千万円超とも。スルガ銀はシェアハウス融資の不正で金融庁から厳しく処分されたが、不動産以外にもずさんな融資があった可能性がある。
朝日新聞の取材に応じた都内の20代女性は、一人暮らしでお金に悩んでいた昨年、仕事探しを通じて会社経営の男と知り合い、「投資話」を持ちかけられた。
銀行でお金を借りて男に預ければ、男が銀行に返済し、配当も払うと言われ、女性は承諾した。お金を借りるため男に紹介されたのが、スルガ銀の神奈川県内の支店の行員だった。
昨年5月末、女性はスルガ銀から無担保で200万円を15年返済で借りる契約をし、行員の指示で、融資金を男に振り込む伝票も書かされた。融資契約上の資金使途は、投資ではなく「介護費用」と記されていた。契約とは別目的に使われたことになる。
配当は一度も払われず、銀行への返済は遅れがちに。女性が男に全額返済を求めると「なるべく早く返す」と言われて連絡は途絶えた。女性は弁護士を通じて男に返済を求めている。
男は朝日新聞の取材に応じて「月2~3%の配当を保証した」「銀行に返済して月2万~3万円の配当も払うつもりだった」と説明。「安く仕入れたフォークリフトを輸出して売るという投資事業は実在したが、お金が戻ってこない。自腹で少しずつ返していく」と主張した。同様に20人前後にスルガ銀で借りさせ、昨年5月までの約2年で5千万円超を集めたが、半数以上とは配当や返済を巡りトラブルになっているとも語った。
融資に関わったスルガ銀の行員は1人だという。男は資金使途について「(行員に)いちいち話していないが、『介護費用』などのウソの資金使途を考えることもしない。借りたお金をすぐ(自分に)振り込ませるので、行員も(契約時の資金使途と違うことは)わかっていたのでは」と話す。
スルガ銀は取材に「現在調査中につき回答は控えたい」としている。
同行はシェアハウス融資を巡る…