「GAFA」(ガーファ)と呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。こうした巨大IT企業への風当たりが世界的に強まっている。もっと納税すべきだ、という批判もその一つ。格差が広がる世界経済のいまを映すこの問題、どう考えれば良いのか。
「GAFAたたいてる場合か」 村上憲郎氏、その心は
元・米グーグル副社長 村上憲郎さん「情緒的な規制、避けるべきだ」
GAFAは支払うべき税金をきちんと払っていない、などと言われますが、違法な脱税をしているわけではないでしょう。節税をしている。それを問題視するなら、「納めなくても済む」という税制の方にこそ問題があるんですよ。税制を整えれば、それに従って、適法に納税すると思われます。
最近は税金に限らず、データの集積などの問題も含めてGAFAへの批判が高まっています。ただGAFAもサービスを提供して対価を得るという商行為をしているわけで、情緒的に「GAFAが悪い」とあおることは即刻、やめるべきです。世界的に社会の格差が広がる中、特定の誰かに対する不満をあおることは負のエネルギーを生み、全体主義の復活にもつながりかねない。日本もGAFAへの規制に乗りだそうとしていますが、情緒的なアプローチだけは絶対避けるべきです。
富の集中による不公平の存在は多くの人の指摘の通りですが、再分配をどうするかは難しい問題です。GAFAを生んだ米シリコンバレーでは高額所得者が集まった結果、住居費が上がりすぎ、普通の地元の人たちが住めなくなっています。米国の分厚い中間層も失われてきています。これまでの資本主義とは様相を異にしてきています。特に若い世代の格差をいかに少なくするかを根本的に議論すべき時期に来ている。ただそれは特定の私企業の責任ではありません。
検索やSNSなどのサービスを…