ラグビーワールドカップが開かれる釜石鵜住居復興スタジアム=2018年11月、岩手県釜石市
山に囲まれた道路の先に真新しいスタジアムが現れる。岩手県釜石市に昨夏完成した「釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム」は今年、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場となる。
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釜石市は、釜石製鉄所があり、新日本製鉄(現・新日鉄住金)の企業城下町として知られる。明治時代以降、2基の高炉に火がともり鉄鋼を生産する、日本の近代工業の拠点だった。
1960年代前半には、製鉄所だけで約8千人の従業員を抱えた。70年には付属病院が製鉄所関係者以外も使えるようになる。スーパーやボウリング場を市内に展開した釜石共栄は、もとは製鉄所の購買部から独立した会社だ。東北地方の海沿いの街は、企業とともに栄えた。
だが89年には製鉄所の象徴である高炉がすべて休止し、街は活気を失った。
新日鉄釜石ラグビー部の選手も通っていた居酒屋の二合半。店の平原多喜子さん(左)らはラグビーワールドカップをきっかけに再び街が活気を取り戻すことを期待する=2018年11月、岩手県釜石市
長い低迷の転機は、2011年の東日本大震災後に訪れた。復興の柱にしようと、ラグビーW杯の誘致話が持ち上がったのだ。野田武則市長(66)は「希望はラグビーしかなかった」。
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