セブン&アイ・ホールディングス(HD)名誉顧問(元会長、CEO〈最高経営責任者〉)の鈴木敏文さん=山本和生撮影
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平成はモノの売り方が激変した時代だった。昭和の小売りを席巻した百貨店やスーパーが勢いを失い、24時間営業のコンビニが急成長。平成の終わりにはネット通販が急速に広がった。セブン―イレブン・ジャパンを育て、日本の流通業界をリードした鈴木敏文・元セブン&アイホールディングス会長兼CEO(最高経営責任者)が、「平成の流通」を語った。
すずき・としふみ 中央大卒業後、1956年東京出版販売(現・トーハン)に入社。63年にイトーヨーカ堂に転職。73年にヨークセブン(現・セブン―イレブン・ジャパン)を設立。2005年にセブン&アイ・ホールディングス(HD)会長兼最高経営責任者(CEO)。16年に名誉顧問になり、経営の一線から退いた。
――平成は消費が伸び悩んだ「デフレの時代」だと言われます。
「平成は経済が沈滞した時代だとよく言われます。しかし、これは平成に始まった話ではなく、昭和の終わりから続いてきたと考えるべきだと思います。戦後の経済成長で社会が豊かになると、消費者はあわてて物を買わなくてもいい時代になりました。売り手が強い時代から、買い手が強い時代に変わったのです」
「戦後、米国の『チェーンストア理論』が日本の流通業界を席巻しました。小売企業は大量に商品を仕入れ、他社より安い価格で売るのが勝負で、商品を店頭に山のように積んでおけば買ってもらえるという発想です。ところが、次第にこれでは売れなくなり、流通業界の中でも販売が堅調だったイトーヨーカ堂ですら、1982年度に初めて経常利益が減益になりました」
セブン&アイ・ホールディングス(HD)名誉顧問(元会長、CEO〈最高経営責任者〉)の鈴木敏文さん=山本和生撮影
――消費の流れはどう変わったのでしょうか。
「世の中の流行が変化するスピ…