昨年4月から保険適用が始まった性別適合手術で、昨年末までに保険を使って手術したのは全国で3人にとどまっていることが、GID(性同一性障害)学会のまとめでわかった。岡山市で23日から始まる同学会大会で、理事長の中塚幹也・岡山大教授(産婦人科)が発表する。
保険適用になった性別適合手術 ホルモン療法と併用は?
性別変更に必要な手術「合憲だが不断の検討を」 最高裁
性別適合手術は「心の性」と「体の性」を合わせるため、卵巣や子宮、精巣を摘出する。日本では戸籍上の性別変更には、この手術を受けることが要件とされる。司法統計によると、性別を変更する人は年々増え、2017年は903人。これまでに、7千人以上が変更した。
タイなど海外で手術を受ける人が多いとされるが、厚生労働省は国内でも医療環境が整ってきたことや、性的少数者が社会的に認知されてきたことを踏まえ、保険の適用を決めた。
3人はすべて男性から女性に性別を変更するための手術。人数の少なさの背景には、制度上の問題がある。一般的に手術すると、性ホルモンが出なくなり、更年期障害のような症状が出るため、ホルモン剤を継続的に使う。
いったん手術すると、もとの性には戻れない。手術前は慎重を期し、ホルモン剤が体に合うか調べたり、使いながら気持ちのゆらぎがないか確認したりすることが望まれている。だが、ホルモン剤を使った治療は保険の適用外で、併用すると「混合診療」とみなされ、手術に保険がきかなくなる。
多くは手術前にホルモン療法を…