ほのかなバラの香りを楽しめる、オリジナル甘酒「愛riche(あいりっしゅ)」を、愛知県立大などでつくる研究グループが開発した。伝統的な甘酒づくりに手法に、最先端のテクノロジーを駆使したという。県立大内の生活協同組合で販売も始めた。
食品工業技術センター(名古屋市西区)と中埜酒造(愛知県半田市)が開発に協力した。産学官連携による新技術の開発と実用化、新産業の創出をめざす県のプロジェクトの一環だ。
研究グループは、半田市の天然記念物「萬三(まんさん)の白モッコウバラ」の花に、高速の電子が放出する「シンクロトロン光」を照射。変異させた酵母を使って純米酒を造り、その際に出た酒かすと、県内産の米こうじを原料にしてノンアルコールの甘酒に仕上げた。
やさしい甘みと深いこくのあるヨーグルトのような味わいで、天然のバラに由来する香り成分が強いのが特徴だ。
米こうじからつくられた甘酒は「飲む点滴」とも呼ばれ、ニキビや熱中症の予防、小腸の腸管バリアー機能の向上など、健康効果が注目されている。若い女性を中心に人気だという。
商品名の「愛riche」は、大学での公募で決まった。県の花で大学の学章でもある「かきつばた(アイリス)」を語源とし、richeはフランス語で「豊かな」という意味があることから、合成語にしたという。
また、「あいりっしゅ」を「愛立酒」と置き換え、「立酒(たちざけ)」が出発の際に飲む酒を意味することから、卒業や入学など、学生の門出に飲む記念の飲料という思いも込められている。
21日にあった卒業式後の記念パーティーでお披露目があり、学生らに無料で振る舞われた。
生協での販売価格は1本(360グラム)500円。県立大学によると、県立大の長久手移転20周年と看護大と合併10周年を記念したプロジェクトの一環でもあり、初のオリジナル商品の誕生となった。(松永佳伸)