熊本県北部の県立高校に通っていた3年生の女子生徒(当時17)が昨年5月、いじめをうかがわせる遺書を残して自殺した問題で、いじめの有無などを調べていた県教育委員会の第三者機関が26日、最終報告書をまとめ、宮尾千加子・県教育長に答申した。答申では5件のいじめがあったと認定し、いじめが「自死に影響を与えた」と因果関係も認めた。
遺族は最終報告がまとまったのを機に、「娘が生きていたこと、いじめで追い詰められて亡くなったことを知ってほしい」と、「知華(ともか)」という名前と写真を公開した。
県教委によると、知華さんは5月17日、午前中の授業後に体調不良を訴えて早退。数時間後、自宅で意識を失っているところを祖母が見つけ、病院に運ばれたが18日に亡くなった。
遺族によると、遺書が居間に残され、同級生から「よう学校に来られるね」「死ねばいいのに」などの言葉を浴びせられたことや、「誤解なのに」「もう死にたい」などといった言葉が書いてあったという。
県教委は昨年6月、法律、医療、福祉などの有識者6人でつくる「県いじめ防止対策審議会」で調査を開始。全校生徒を対象としたアンケートや、生徒や教員への聞き取りを通して知華さんを取り巻く人間関係や、亡くなった前日や当日にあった出来事を調べてきた。
昨年12月にまとめられた中間報告では、授業中に複数の生徒が「死ねばいい」「うそしかつかん」などと発言していたことを認定したが、いじめかどうかには触れなかった。
知華さんが自殺した後の学校による調査では、同級生からの暴言があり、インスタグラムでのやりとりが暴言の背景になったとの指摘が出ていた。(池上桃子)