金属学の専門家で、東北大総長を務めた井上明久氏らが書いた3本の論文について、日本金属学会が会誌掲載を撤回したことが26日、わかった。うち2本は、研究対象が異なる別の論文から写真やグラフを使い回すなど、「科学的に不適切」だったとしている。
撤回された論文は、学会が発行する「マテリアルズ・トランザクションズ」誌に1997年と99年、2000年に掲載された。いずれも井上氏が筆頭著者で、一般的な金属より丈夫でさびにくい「金属ガラス」について書かれていた。
同学会によると、97年と99年の論文で「ジルコニウム合金」として掲載された試料の写真は、96年に井上氏らが発表した別の論文で「ネオジム合金」と説明した写真と同じだった。異なる条件で試料をX線解析したとする実験結果のグラフも同一だった。00年の論文は、別の雑誌に掲載されたものと同じ内容だった。
井上氏は06~12年に東北大…