広島県呉市の市立中学3年の男子生徒(15)が同級生からいじめを受け、保護者がいじめ防止対策推進法の「重大事態」に該当すると申し立てたのに、学校側は半年にわたって有効な手を打ててなかった。寺本有伸(ありのぶ)教育長は26日に会見し、「被害に遭った生徒、保護者におわびする」と謝罪した。
市教委によると、被害生徒は2年生だった2017年11月、教室で同級生7人に、ひざ上までズボンと下着を下ろされたという。同様のことが他に2回あり、保護者が同月、学校にいじめとして申告した。
学校は直後に調査を始めたが、被害生徒への聞き取りについては、不信感を理由に保護者に断られた。その後の12月、被害生徒側が県警に被害届を出したため、捜査に配慮して聞き取りを控える状況が続いたという。翌18年6月には、被害生徒が担任教師に、眠れない状態が続いていると相談。保護者も「重大事態にあたる」と訴えたという。
学校と市教委は、当事者の言い分にずれがあることなどを理由に、事実関係の精査を試みたが進まず、今年1月になって文部科学省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」に沿って対応すると判断。4月にも第三者委員会を設けて調査することにした。(佐々木康之)