世界で最もきつい仕事。オーストラリアでこう言われるのが羊の毛刈り職人だ。アスリート並みの体力が必要とされ、数の減少に歯止めがかからない。一方、ウール人気は上昇中。そこで「毛刈りロボット」を開発する試みも始まった。(ヤス=小暮哲夫) 大きなバリカンを手にした職人が一列に並び、豊かに生えそろった羊の毛を刈っている。もう一方の手で頭を、両足で胴体を押さえる。刈り終わった羊毛は毛布のように一枚につながっている。 シドニーから車で3時間。豪南東部ヤスの牧場「キャバンステーション」は1万ヘクタールの敷地に2万匹の羊を放牧する。訪れた2月は毛刈りのピーク時期だ。 7人の職人のうちエイダン・コップさん(30)は「毛刈り競技会」上位の常連。1匹にかかる時間はわずか1~1分半で、1日8時間で300~400匹を刈る。「社交ダンスのように刈る。こちらが落ち着いてやると、羊も静かになる。羊の動きにはいくつかのパターンがある。個体ごとにつかんで刈り方を変えるんだ」 職人は各地の牧場を渡り歩く。報酬は出来高制。最新レートは1匹で3・11豪ドル(約244円)だ。普通の職人なら150~200匹は刈るから、1日で4万円前後の稼ぎになる。 とはいえ、羊の体を押さえなが… |
羊の毛刈り職人、きつすぎて激減 ついにロボットも登場
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