ニホンジカが増えている地域で、一部の植物が小型化していることを、山形大学理学部などの研究グループが明らかにした。同学部の横山潤教授(多様性生物学)は「シカに食べられにくかったものが生き残ったと考えられる。生息が広がり始めている山形県内でも起きる可能性は十分ある」と話している。
研究グループは、ニホンジカが多く生息する宮城県の牡鹿(おしか)半島で2016年からオオバコやタチツボスミレを採取し、仙台市内などシカの影響がない地域と大きさを比較して、研究してきた。オオバコは通常約30センチまで成長するが、牡鹿半島のものは数センチ程度。茎が15~20センチほど伸びるタチツボスミレも数センチまでしか育っていなかった。採取したものを山形大小白川キャンパス(山形市)で育てても、それ以上大きくならず、「遺伝的な変化があった可能性が高い」という。
1990年代後半の牡鹿半島では変化は確認されていなかったため、ニホンジカが増え始めた2000年代ごろから起きたと見られる。小さい植物は、シカが見つけにくかったり、食べても十分な栄養にならなかったりする。「食べられにくいものが多く残ることによって、変化が生じていると考えられる」と横山教授。小さくなっても、花が咲き、種がつくというサイクルは維持しており、動けない植物がシカの餌になることをかいくぐる「生き残り策」のようだ。
ただ、「もともとの大きさには…