やまだ・ようじ
1931年生まれ。東大卒業後、松竹に入社し、61年、映画監督デビュー。代表作に「男はつらいよ」(69年)シリーズ、「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」(77年)、「学校」(93年)シリーズなど。今年12月、シリーズ50作目となる「男はつらいよ お帰り 寅さん」が公開予定。
北海道夕張市を走るJR石勝線夕張支線(新夕張―夕張間、16・1キロ)が今月31日をもって営業を終了し、廃止になる。夕張を舞台にした映画「幸福(しあわせ)の黄色いハンカチ」(1977年)の山田洋次監督(87)に、消えゆく地方鉄道への思いを聞いた。(斎藤徹)
「同胞(はらから)」という1975年の映画があります。そのラストシーンに、劇団員の倍賞千恵子さんが新しい公演場所を求めて歩く背景にSL(蒸気機関車)が走っている。それが夕張ロケでした。
国鉄がJRになる前のころ、日本中からSLが消えていく中で、夕張線(当時)には石炭を運ぶSLが最後まで走っていた。それもいよいよあと数週間で終わりになり、日本の鉄道からSLが姿を消すと言われて、僕は夕張までわざわざSLを撮影しに行ったんですよ。
「ああ、これで日本からSLが消えるんだ」と、悲しみを込めて撮った記憶があります。今度はついに線路すらなくなっちゃうのかと思うと、痛々しいなあ。
《夕張は、山田監督の代表作「幸福の黄色いハンカチ」の舞台でもある。映画には、活気にあふれていた炭都の日常風景が映り込んでいる》
「ぼくにとって夕張は特別な愛着があるまち」と語る山田監督。「幸福の黄色いハンカチ」の舞台裏と合わせて語ります。
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